百朝集漫遊 20 「好人 二」
厳遵(げん・じゅん) 字(あざな)は君平 西漢の時の人
城都の市に卜筮(ぼくぜい)し 日に数人を閲(み)るのみ
毎(つね)に卦詞(かし)に依って 人に教ふるに忠孝を以ってす
日に百銭を得 以って自らを養ふに足れば 則(すなわ)ち肆(みせ)を閉ぢ
簾(れん)を下して老子を読む
(漢書)
厳遵は、字は君平、前漢時代の人。
街の繁華街で易者をやり、一日に数人しか閲ない。
いつも八卦の言葉に寄せて、お客に忠孝を勧める。
売り上げが百銭くらいになって、その日の飯代を確保すると店じまいし、
シャッターを下して老子を読んでいる。
安岡先生のコメント。
人生にはかかる行き方(生き方ではない)もある。
何か限りなく考えさせる人ではないか。
不肖(安岡先生)も、どうかすれば、真似てみたい魅惑を感じている一人物である。
歳九十余にして卒(しゅっ)す、とあるから、さぞかし好い顔をしていたことであろう。
有名な揚雄(よう・ゆう)が若い時、就いて学んだと言うことである。
なんだか、キシュウさんみたいな人だなぁ。